東京建築祭で千代田区一ツ橋の「共立講堂」と「パレスサイドビルディング」を見学した後、ついでに見ておきたいものがありました。
それは、国立近代美術館の敷地にあるというイサム・ノグチの“門”という作品です。
で、行ってみると確かにありました。
この青いのが目的の彫刻です。でも、あまりよく見えません。
ここは、美術館の展示室の出口から売店に出てくるところで、その向こう側にあるので、なんかよくわからないのです。
これはやはり美術館の中から見ないとダメなのかな?と思いましたが、もう夕方なので入館はしません。
ちょっと外側から回ってみることにしました。
今度は良く見えましたが、「門」というには、何かピンときませんね。しかも作品として映える気がしないというのが正直なところです。
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「門」についてちょっと調べてみました。
この屋外彫刻は、1969年に国立近代美術館が京橋から竹橋に移築されたときに、一緒に作られたそうです。
この美術館の設計者である谷口吉郎が友人のイサム・ノグチに制作を依頼したとのこと。彫刻とは言っても、イサム・ノグチの作成した設計図をもとに工場で生産されたもので、建築の一部という感じ。
また、予算が無かったので、東京オリンピックの時に建築された首都高速道路の梁を再利用したのだそうです。なので、この近辺の首都高とも関連しているとのこと。
最初の色は赤だったそうです。この色は、白とグレーの建物に対して彩りを加え、また高さが10.5mもある縦型の彫刻は、横長の美術館に対して縦のアクセントとなっているそうです。
この「門」の色については、イサム・ノグチが、朱か青か黄/黒という3種類の色を提示しており、年月の色の劣化に合わせて塗り替えるという考えだったとか?
最初は朱と黒という案もあったようですが、まずは朱で始まり、1975年に青になり1991年に朱になり、そして2022年に青に塗り替わったそうです。
これらの色は、街中にある人工的構造物の色であり、朱はポストの色、青は東京都のゴミ収集車の色、黄色と黒は警告の配色とのことで、現在は実際にゴミ収集車と同じ色ナンバーの塗料を使って塗られているそうです。
このような経緯を知ると、本当に面白いなあと思います。
こちらが、谷口吉郎が設計したという東京国立近代美術館の建物です。
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それからイサム・ノグチの作品のある札幌のモエレ沼公園の画像を2枚だけ載せておきます。
ガラスのピラミッドです。
こちらは広い公園の中にある構造物で、三角のピラミッドや丸い古墳が連想されます。
モエレ沼公園は、元々ゴミを廃棄する場所だったそうですが、広大な土地がイサム・ノグチによって大規模に設計されて、壮大な作品の配置された公園になっています。
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モエレ沼公園のほかに、どこか近くに作品がないかなと思って調べたところ、東京では竹橋の近代美術館にあることがわかりました。
その他には、神奈川県の子どもの国にあるらしいですが、モエレ沼公園ほどのものはありません。
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さて、最後に、この竹橋や皇居付近を散歩して撮ってきた写真をあとから見て発見したものがあります。
こちらは、パレスサイドビルの前あたりのお堀のところで、サツキがきれいだったので撮影したものです。
あっ! 遠くに青いものが写っています。あちらが近代美術館です。
拡大しました。あれはたしかにイサム・ノグチの「門」ですね。
青が映えています。
さらに拡大。
ゴミ収集車の青は目立って良いですね。
そして、イサム・ノグチは、ここから見えることも計算していたのでしょうか。
ついでに首都高速道路の写真も載せておきます。「門」は、あの梁と同じ材料でできているのですかね。
イサム・ノグチってやっぱりすごいなあと思います。
追記:
昔の「門」が写っている画像が出てきました。赤いです!
2018年1月8日のブログ(熊谷守一展)の時に写したもの。
2011年8月3日のブログ(パウル・クレー展)の時に写したもの。
赤も青も良い! 時々色が変わるっていうのもいいですね。